広報宣伝活動にありがちな勘違い。2017/04/18 12:43



広報宣伝にありがちな勘違い
 
舞台写真家の所属は広報宣伝部の位置付けで、舞台スタッフではなく制作スタッフに分類されます。
 
あたりまえですが自分の好き勝手に舞台を撮るのは良くありません。広報宣伝活動のノウハウとまでは言いませんが、当然あれこれ知ってるし、知ってなきゃいけないんです。
 
 
演劇やダンス公演から各種講演会まで、「舞台」と呼ばれる場所を使い、「会場」にお客さまを入れる発表会や公演ないしイベントではお客さまの存在がとても大切になります。聴衆や参加者でも同じ。
 
準備段階では舞台上ばかり考えがちですが、同じくらい客席のことを考える...それが制作のおもな仕事になります。
 
 
地方や小さな団体に多いのですが、慣れない主催や関係者は前売りが良くないとすぐディスカウントしたり、無料でチケットを配って席を埋めようとします。しかしこれは大間違い。満足するのは関係者だけ。
 
「宣伝方法がわからない」と言う人も多いです。
たいてい、その舞台の魅力が伝わっていないか、そもそも舞台に魅力が無いかのどちらかなんです。
後者は内容以外に日時や場所なども大きく影響します。
 
 
「宣伝」と「告知」を混同したり勘違いをしている人、ひじょうに多いですね。「宣伝が足りない」と言う人は、ほとんどの場合、告知が足りていません。その舞台に興味を持つ人の元に情報が届いてないんです。
 
逆に言うと、興味ある人のところに情報が届けば、それだけでお客さまは集まりますし、興味が無いところにいくら宣伝しても、お客さまは集まりません。
 
これ同窓会幹事の会合で言ったんですけどね。「同窓会と公演は違う」と聞き入れられませんでした。僕は同じと思うけどなあ。
 
 
「人を集める」基本はなんでも同じ。
「人が集まる」にすればいい。
 
魅力的な内容であること。
魅力的と感じる人に情報を届けること。
 
 
これが告知の第一歩。考えたり動いたり、この部分はとても重要な手順ですね。刑事で言うと「聞き込み」に当たる地道な作業。
 
しかし問題がある場合、たいていここを軽視して飛ばしてしまう。コネをたどってポスター貼ったり新聞やテレビに載せてもらって「こんなに宣伝した」と満足してしまいます。
刑事が聞き込みせず、いきなり駅前でビラを配る感じですね。
 
 
新聞やテレビに出たとして、ご来場が予想されるお客さまと、新聞やテレビ番組を観る層は一致していますか?
そこは基本のはずなのに「とりあえずやることやった」と満足してしまうんです。
 
 
その結果、どうなるでしょう。
 
 
前売りは伸びず、結局、友人知人やお店の女の子まで動員して席を埋める。そのときはそれで済むかもしれませんが、次いったいどうするんでしょう?
 
そんな席の埋めかたでは、舞台もお客さまも育ちません。
 
薬で無理やり元気にしたような状況ですから、常に薬を打ち続けることになり、やがて体力的に疲弊してしまいます。モチベーションも金銭的にも限界が来ます。
 
プロデューサーや制作の基本も知らない人が、ただ顔が広いからといって「俺に任せとけ」知人を総動員した結果、とりあえずそのとき席が埋まっても、次の時も、また次の時も同じことをしないと席が埋まらない状態になってしまう。
  
一方で、ほんとうに内容の良さに惹かれてやってきた縁も何も無い純粋な気持ちのお客さまが満員で入れない。
 
入ることができても、客席内は顔見知り同士で開演前から異様な盛り上がり。始まる前から疎外感。とても場違いで浮いてしまう。
場違いなのはむしろ大多数の集団のほうですが、「呼ばれてきた」お客さまたちは、そんなことは全然気にしません。
 
せっかく「自分の意思で」来て下さったその方は、もう二度と会場に来ていただけないでしょう。
 
こんなことをしていてお客さまが増えるわけがない。
むしろ動員数はどんどん落ちてしまいます。
 
 
なぜ気付かないのか、こんな簡単なことが理解できないのか。とても不思議でなりません。
  
 
「良さ」を伝える。「知人」とか、まったく関係ありません。
 
伝える良さがわかってないから対象が決められない。どう告知すれば良いかわからない。
 
良さがわかっている制作は、来ていただきたい層がわかるし、ターゲットに対する告知方法も見えてメキメキ効果を発揮します。
 
 
内輪盛り上がりで閉じてしまい、新たなお客さまの広がりを阻害している自覚に乏しい関係者は舞台表現に百害あって一利なし。ブランドを積み上げるどころか自分で崩して壊しています。ギリギリで相談されても、どうしようもありません。
 
 
お客さまは「集める」ものでなく、しぜんに「集まる」もの。
客席は、がんばって「埋める」ものではなく、「埋まる」もの。
 
内側すぎても外側すぎても気付きにくい。しかし最終的には外側、お客さまの視点に立つ。それが制作業務の根幹です。
 
チケットは「さばく」のでなく、しぜんに「売れていく」もの。
 
理想論に聞こえますか?
でも求めている人はきっとどこかにいますよ。
遠回りに聞こえますか?
でもそれしか方法ありませんよ。
 
急に身体が鍛えられますか?毎日ジムに通うでしょう?
努力せず効果を期待するなんて無理とわかってる。
わかってるのに地道な制作業務を怠っていませんか。
 
 
 
「ああ、こんなのあるならもっと早くから知っておきたかった!」
「また次もぜひ来たいです!」
 
こんな声を聞くと、もっと早く届けられなかった自分を反省します。きっとそんな方がもっといらっしゃるはず! 
 
マーケティング用語だと潜在顧客。
未来のお客さまにきちんと届くように。
 
それが広報宣伝活動の第一歩、「告知」です。
 
 
 
あなたがしているのは告知ですか宣伝ですか?
 
新たなお客さまを増やそうと努力していますか?
 
それともとりあえず席を埋めたいだけですか?
 
 
 
 
写真を効果的に使ってほしいし、相手が望む写真も撮りたい。写真をどう使いたいか話を聞いたり自分の考えを言う場合があります。
そこから「効果的な広報宣伝活動って?」に拡がり今に到ります。
 
どんな内容をどの媒体にどのタイミングで出すと効果的か。考えるのも自分の仕事の一部。
ただ撮って渡して終わりじゃなく、お客さまに良さが伝わって、だんだん拡がっていくことが最終目標だと思っています。

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