西の空気。2017/11/02 12:41




各地を旅して
(ここに住んでみたいなあ)
ふと思うことが結構ある。
たぶん人生がらっと変わっちゃうだろうな。
そういうのもまた人生なんだろうなあ。


日本各地を旅した学生時代。
なにげない美しさにぐんぐんひかれていく。
避暑なんて逃げより、むしろ厳しい季節がいい。
夏の小笠原と冬の北海道は、しばらく定番だった。

小笠原は「9時5時」じゃなく「8時4時」
だって暑くて働けないから。
夜8時9時になったらもう眠い。
砂浜に見えるのは小さく砕けたサンゴの浜
枕元まで響く波の音
ざばーん、カラカラカラ…

北海道オホーツク、流氷の海の朝焼け。
ユースホステルを出て歩いて浜へ。
暗がりで三脚を立てると、やがて空が真っ赤に。
シャッター押すと指がくっついたり
機械式セルフタイマーが途中で凍ったり…

行かないとわからない本場の感覚。


東京に住んでた頃、新幹線で新神戸あたりに来ると
「あ〜帰ってきたなあ」と感じた。
テレビ中継でどこかの海が映ると
字幕が出るより先に光線でわかる。
西日本に限ってだけど。

土の色、山肌の色、光線の角度、光の色
合わさり混ざって作り出す、西の空気。

海に出た魚がわざわざ遠い旅をして
生まれ故郷の川に戻ってくる
その気持ちがようやく少しわかった気がする。