一段目を飛ばさないで。 ― 2017/10/16 10:31

「なぜこんな良いものなのに人が来ないの?」
「それは求める人に伝わってないからだよ。」
僕の失敗談は、ここでも何度か書いた。
「また同じ話か」と思われた方は申しわけない。
写真教室の劇場折り込みチラシを作ったとき。
デザイナーのヒネノさんの事務所に行った僕は
よその写真教室とどこが違うか
自分の写真教室の特長を盛大にアピールした。
ヒネノさんは僕の話を全部聞いたあと
「カズ、それは違うよ」と言って
静かにゆっくり話してくれた。
−−−−−
もし対象が「写真を習いたい人」で
「どこか良い教室で写真を習いたいなあ...」
そう思っているなら、そのチラシでいい。
でももし、そうじゃないなら
「もっと手前」から始めないと届かないよ。
「ウチのラーメンはここが違います!」
店の前で呼び込みする人の言葉は
ラーメンを食べよう!と決めている人には響くけど
なにも考えていない人には響かない。
それどころか
(あれはラーメンに詳しい人に向けた言葉ね)
(わたしには関係ないんだわ)
響くどころか逆効果になってしまう。
そろそろお昼が来ますね、おなかすきませんか?
うどん、カレー、牛丼、ラーメン、なんにします?
今日はラーメンなんて、どうでしょう?
ウチのラーメンは...
そこで初めて言えるんだよ。
その前に言っちゃうと、聞いてくれないんだよ。
チラシって美術品じゃないんだ。
なにか目的のためにある実用品なんだ。
関係者が喜んで終わりじゃない。
チラシを見て何人の人が来たか、そこなんだよ。
−−−−−
相手の耳に届くためには
どの段階から始めたら良いだろう...
いつもそこを考えてる。
内側に入れば入るほど
最初の一歩にとても勇気が必要だったことを忘れて
「いいものなのにー」
「一度来ればわかるのにー」
なあんて言ってしまう。
あなたは初めての時のことを覚えていますか。
だとしたら、それをどう活かせば良いかわかるでしょう。
あなたが「なかなかうまく伝わらない」そう思うとき
実はあなたの用意した一段目は
下から見ると、とても高く見えています。
もっともっと下げて
それでようやく最初の一歩を踏み出せるんです。


